■ 選評−リック・シルヴァ
one word movie:
本物のネット・シネマ作品。キーワードを入力したときに、あなたは監督に、台本作者になるのだ。あなたのキーワード次第で、斬新で発展的な実験映画がホラー映画になってしまうかも知れず、あるいはポルノ映画になってしまうかも知れない。あるいは編集者となって、このネット上のライブ映画の早さを変えたり、ループさせたりもできる。また、ウェブは篩にかける空間でもあるから、イメージは何千人ものユーザーによってアップロードされ、そして消去される。ワン・ワード・ムービーは恐らく、同じものを二度とは繰り返さないだろう。わたしの旧師であるスタン・ブラケイジは、かつて言ったことがある−−−『一つの単語には千枚の絵の価値がある』と。そしてその言葉は、ワン・ワード・ムービーにそっくりそのまま当てはまる。
gwei/google will eat itself
コンセプチュアルでポリティカルなハッキング。googleというブランドは、すべてのテキスト、ニュース、動画、衛星、そしてあなたの前頭葉をあっという間に横領してしまうから、彼らは自分たちのシステムの抜け穴を監視しているのだ。オウロブロス(ouroburos/自分の尾をくわえた蛇)のように、googleは結局自分を食べてしまうだろう。シンプルかつ優れた作品。
confluence project
この作品は、興味深いプロジェクトまたはパフォーマンスであるが、それは、とても人間的な創作であるからでもある。それは私たちに、冒険や探検、そして物語を紡ぐセンスを求めたりはしないだけではなく、テクノロジーを通じて秩序やシステムを構築するようなセンスも求めたりはしない。この「confluence/人々の集合」というプロジェクトにおける多くのハンター達は、不可視の、人間が作った緯度や経度を探し求める。彼らは、これらの「ヴァーチャルな」ロケーションの位置を示すためにGPSを用い、デジタル・カメラを旅を記録し、その証拠とするために用いている。そして、ウェブをそのプロジェクトのためのアーカイブのための空間、交流のための空間として利用している。不条理にして必然的な作品。
i love you
わたしはこのプロジェクトの、移ろい、そして消え行く光が好きだ。クリックして更新するたびに、コードは再度生成され、イメージを切断し、メッセージを抽象化し、美学を統合する。それは、色彩に満ちた、神聖なデジタルの花束である。
fragile circus
継ぎ接ぎされたテクスチャーが印象深く反復され、おとぎ話的な登場するものの一生がスクリーンをよぎる。間合いと音とが、わたしたちをこのシュールレアル的な短い物語へと誘う。 |