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展覧会場
netarts.org 2009
    大賞受賞作
    優秀作品
    選考委員会

     

    ■ "VisitorsStudio "
    ■ http://www.visitorsstudio.org/
    ■ VisitorsStudio(英国)

    ■ 選評−アニェゼ・トロッキ

     今年、大賞に推すべきネット・アートを見つけることはとても困難だった。ネット・アートのプロジェクト自体、見つけることが難しい。インターネットは年々、当初の位置からまったく異なったものに身を落としてしまっている。今日においては、人々と出会い、すべてのものを分かち合い、世界中とコミュニケートする機会は増しているものの、未知のもの、予期せぬもののためのスペースは減ってしまっている。創造性は、web2.0の性質を反映していなければならない。そのような理由で、今年の大賞作品を表彰できることは、大変喜ばしいことと思う。

     『VisitorsStudio』について。それは、社会的なネットワークのルールを逸脱し、「現実の」社会的な空間として作用する。それは軽々と作動し、操作しやすく、そして誰でも参加できるものである。この作品は、終わりのない、クリエィティヴなプロセスであり、そこでは、すべての参加者の小さな作品が共有されることによって、より大きな作品の一部となるのである。

     同様のプロセスは"Gridcosm"でも採用されており、優秀作品となった。それぞれの参加者固有のすべてのコラージュは、潜在的で終わりなきイメージの通路の一部分なのである。Gridcosm は1997年に開始された。その黙示録的なビジョンと共有された創造性、そしてインターネットとその変化の10年間を突き抜けたその能力故に、優秀賞を与えられねばならない。

     もう一つの非常に胸囲深いプロジェクトは"G-maybe"である。それは、インターネットが登場した時代の黄金期を指向し続ける最後のフロンティアなのだ。この作品のお陰で、最終的には、あなたの知人との通信が納められているあなたのメールボックス全体を公的に共有することになる。この作品のマニフェストは、あらゆる社会的なネットワークの内部には覗き見を趣味とする人や機関が存在し、ユーザーに対して「現実というゲーム」を遊ぶためには、完全に不可視な存在となれと挑発する。つまり、スリルとは赤裸々な現実そのものなのである。

     ソシアル[ネットワーク・ミュージック]は、あなたのコンピュータがクラッシュするまで、myspace 上のバンドのページを音楽をブラウジングさせるという、愉快な作品である。匿名でのネットワークの使用、そのコンセプトの単純さは、この作品を優秀賞に相応しいものとしている。

     Dotred.fr のお陰で、私たちは、ウェブ上の社会的なネットワークのゲームを用いて、人道主義と社会的な目標のためにユーザー達を組織することの重要性を理解するだろう。

     この project "netarts.org"は1995年に開始され、そして今年2009年、VisitorsStudio を大賞に選んだことでその現実世界での終焉に到達した。このプロジェクトは、インディペンデントのプログラム制作者とネットワーカーによる作品へのオマージュであった。それは、騒々しいネットワークの海に埋没することなく、オンライン上での創造性の可能性を発展させるため、機能し続けることだろう。