■ 選評−アニェゼ・トロッキ
「サウンドトランジット」を最初に訪れた時、それが想起させる「開かれたスペース」という雰囲気に、わたしはすぐに感動を覚えました。
音は、わたしたちの想像力を束縛したりはしません。だから、どのような場所であっても、自由にそれを形として思い描くことができます。世界中の異なった地域の音のアーカイブを創り上げようとする試みの中には、何かとても美しく、詩的なものがあります。つまりそれは、混乱した今日という時代において、わたしたちに疑問を抱かせ、世界の中の色々な場所を、色々な瞬間を経験する機会を与えてくれるのです。
わたしは、このプロジェクトを、様々なアーティストたち(この作品の場合は、録音した音を分け合っているすべての人たち)の間のコラボレーションが、すべての人たちに豊かさを与え、何かを経験させてあげることができるという事実の優れた例の一つだと思います。
["agoraXchange" /優秀作品]
この作品はマルチ=プレイヤーのゲームで、実現可能な(そしてより良い)世界を描き出しています。それは、わたしたちの暮らす暴力的で野蛮な現在の、社会的かつ哲学的な基礎への一つの挑戦なのです。わたしは、このプロジェクトが優秀作品に値すると思うのは、社会的/政治的な論評のとても効果的な形の一つであるから……つまり、現在をタグしているからです。
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