■ 選評−ジョン・ホプキンズ
グローバルなネットワークの中でクリエィティヴなプロダクツが細分化されつつあることを見ても、今年はネット・アートにとっては複雑な年であった。今年のテーマである「組織化された経験」は、主流メディアにおける「セカンド・ライフ」の大げさな宣伝が到来したことで、大変に難解なものとなった。しかし、物質と人的なネットワーキングは、「セカンド・ライフ」の薄っぺらな実質性を凌駕している。地球規模の資本主義への有効なパロディとして、「フェラル・トレード」は、直接的に物資を供給するネットワークを活気づけようとしているが、それは、既存の社会的な諸ネットワークを結びつけることによって行われる。それは、人のネットワークと個人的な関係を利用し、地球規模の貿易の匿名性の規格化へと立ち向かう。それは、グローバリゼーションのファサードに小さな割れ目を作り、そこでは、自律的な集団の存在が活性化されるのだ。TAZ(一時的自律ゾーン)の古典的な例として、私はそれが、支配的で画一的な資本家構造の力を弱める、永久的な存在として根を下ろすことを望んでいる。そして少なくともそれは、そんな構造に深く欠けているものがあることを指摘してくれているし、そして、人と人との関連の発展的な変革に向けられた批評的な出発点なのである。 |